700年に及ぶ刀鍛冶の歴史を誇る岐阜県関市。
今でも技法、匠の技がいきる刃物で有名なまちです。現在では包丁やナイフ、医療用メスなど、豊富な刃物が関市で生産されています。市内には安全剃刀で有名なフェザーの関工場もあります。
刃物のまち・関市ですが、自然、名刹、また平成スポットとしても有名な場所があります。モネの名画「睡蓮の池」に似てるといわれる名もなき池、通称モネの池。美濃清水と呼ばれた岐阜最古の名刹・日龍峯寺。そして、令和になったときに話題になった道の駅・平成があります。
今回は刃物のまち関市をぶらりドライブでめぐってみたので紹介していきます。
旅の行程
旅の舞台である関市ですが、Vサインのかたちをしています。
観光スポットを端から端まで巡る場合、それなりに距離と時間を要するので、早めに現地に到着することをおすすめします。今回の旅の全行程75kmほどで、移動時間だけでも2時間はかかります。
旅のスタートは東海北陸道・関ICからです。
関市街にある、「関鍛冶伝承館」、「フェザーミュージアム」に向かいます。その後、山中の神社にある「モネの池」、そこからしばらく車を走らせ、名刹「日龍峯寺」、最後に道の駅「平成」近くの「しあわせの架け橋」をめぐります。
関鍛冶伝承館
700年におよぶ関の刀鍛冶の歴史や文化を伝える博物館です。
関鍛冶の歴史、刀の製造工程、匠の技が織りなす美しく研ぎ澄まされた日本刀を見ることができます。刀匠による伝統の日本刀鍛錬の実演もあります。(コロナの影響で当面中止)
関鍛冶の歴史と魅力
関鍛冶の始まりは鎌倉から室町時代頃、九州よりこの地に移住した「元重」と「金重」と言われています。館内には元重作の14から15世紀頃の刀が展示され、その美しさに魅入ってしまうほどです。
現在の刀匠による作品も多く展示されています。
刀それぞれに特徴があり、特に刀に付いている波模様の刀文(はもん)は、刀の魅力が一番伝わる部分かと思います。「美しい」と自分の感性に訴えかけてくるものがあります。
特別展示や変わり種の百徳ナイフも
館内には特別展示で甲冑や刀、槍、弓などの展示もあります。
また、近代から現在までのナイフ等の刃物や、百徳、百丁出しナイフなども展示されています。キャンプ等で持っていても、使いこなせない気がします。刃物を出すだけでも大変そうですね。
濃州関所茶屋で休憩
伝承館のすぐ隣には茶屋があります。
お土産屋や食事処もあり、ちょっとした休憩にはもってこいです。
食事処はモーニング、ランチの営業で、14時以降はデザートや飲み物だけになります。鶏ちゃん定食、里芋ステーキなどがあります。
訪れたときはすでに14時を過ぎてしまい、ケーキセット(520円)+抹茶(+30円)を頼んでみました。4つのプチケーキとひんやり冷たい餅アイス、抹茶が美味しく、散策で疲れた体にはちょうどよかったです。
春日神社に旅の感謝を伝える
伝承館のすぐ隣に、春日神社があります。
関の刀匠により春日大社より分霊を祀った神社とのことです。旅の無事のお礼とこれからも安全な旅になるようにお願いしました。旅で多くの神社仏閣を訪れることが多く、次に来られる時も分からないため、いつも感謝をお伝えするようにしています。
「ここまでこの地を安全に旅できているのは〇〇様のおかげです。このまま家に帰るまでお守りください。」
お参りすると気持ちが軽くなり、旅が楽しめるような、そんな気持ちにさせてくれます。
施設情報(関鍛冶伝承館)
開館時間:9時~16時30分
休館日:火曜日・祝日の翌日
駐車場:10台
入館料:大人300円/高校生200円/小中学生100円
※JAF割引あり。PayPay使用可
電話:0575-23-3825
公式HP:関鍛冶伝承館 |関市観光協会
フェザーミュージアム
安全剃刀で有名な「フェザー」。
1932年に日本企業初の安全剃刀を売り出し、現在は本社が大阪にあります。関市内には関工場があり、理容、美容用の剃刀の生産をしています。同じ市内で伝承館からほど近い場所に、世界初の刃物総合博物館「フェザーミュージアム」があります。
フェザーの歴史と商品がいっぱい
博物館に入ると背丈以上の髭剃りや今では6割の売り上げを占める主力商品の医療用メスの巨大オブジェがあります。一緒に写真を撮ると良い思い出になるかと思います。
館内にはフェザーの製造の歴史、古今の商品展示、懐かしいCMなど、フェザーのことが分かる展示物がたくさんあります。シアタールームでは、企業の研究、製造、営業までの商品開発や品質への取り組み、こだわりを知ることができます。
圧巻!替刃の巨大アート
替刃17,000枚を使った壁一面の巨大アートがあります。
よーくみると1枚の巨大替刃が浮き出ています。一枚一枚が替刃になっており、その数の多さに驚くばかりです。記念撮影にはベストですね。
豆知識ですが、影絵アートの巨匠・藤城清治さんは、フェザー製の替刃を使って、切り絵を制作しているのは有名な話です。替刃を素手で持って、細かい美しい作品を作り上げています。
医療分野でも大活躍
医療の分野でもフェザー製品が大活躍しています。
解剖や手術で使う医療メスなどです。繊細な手術に適したサイズ、特殊形状、性能など、どれも求められるレベルが高く、実現し貢献しているところに感動してしまいます。実際の使われ方など、とても勉強になります。
ここでしか買えない記念グッズをゲット
来館者しかゲットできない記念グッズもあります。
今回は髭剃りセット(本体、替刃、髭剃りフォーム)を購入しました。車中泊で入浴施設に行った際に髭剃りで使おうかと思います。
ちなみにキャラクターである「ヒゲ博士」は、フェザーミュージアムの前身「カミソリ文化伝承館」を創設した当時の社長・岸田氏とのことです。笑顔の写真が飾られていましたが、キャラクターと雰囲気そっくりでした。
施設情報
開館時間:9時30分~16時
休館日:火曜日
入館料:無料
電話:0575-22-1923
公式HP:フェザーミュージアム
名もなき池(通称:モネの池)
関市の北西の山中にある、名もなき池、通称・モネの池。
池の美しい姿がモネの名画「睡蓮の池」に似ているということで話題になりました。もともとは根道神社にある池で、地元の方が「魅力的な場所にしよう」ということで、環境を整備し睡蓮(スイレン)を植えたのが始まりです。
睡蓮と池を泳ぐ錦鯉の姿が美しいですね。
今回は曇り空で、天気と季節によってはもう少し綺麗だったかもしれませんが、初めて見た瞬間、「おおー!すごくきれい!」と声を発してしまいました。山中にも関わらず駐車場は満車で多くの観光客で賑わっていました。実際に見てみるとその美しさから人気の高さも納得です。遠くまで来た甲斐がありました。
名刹・日龍峯寺
山の上に建つお寺で、日龍峯寺(にちりゅうぶじ)といいます。
岐阜県下では最古のお寺で、山の斜面に高床で作られた本堂は、その姿から京都の清水寺にちなんで、美濃清水とも呼ばれています。
年末年始の風物詩・NHK「ゆく年くる年」で、2018年末にこのお寺が登場したことで参拝者が増え、人気のお寺になっています。山寺ということで来る途中、車1台がやっと通れる細い場所も多く、運転には注意が必要です。
本堂内は提灯、天井に描かれた天女、明治時代頃の軍隊行列、戦いの板絵など、思わず「凄い!」と声が出るほど、厳かな雰囲気に包まれています。周囲は山に囲まれ、聞こえるのは水車を流れる水の音と鳥のさえずりのみで、本堂から見下ろす景色と共に心癒されました。
みたらしの霊水
本堂の裏手にまわると、岩場から霊水が湧き出ている場所があります。
眼病、病気療養に良いといわれ、飲むことができます。専用の空のペットボトル(100円)があるので、汲んで持って帰ることができます。
多宝塔
鎌倉時代、尼将軍の北条政子により建立されています。
二重の塔で下から見上げると、屋根の所の木の組み合わせ、丸くなっている部分の造りなど、その緻密さに驚くばかりです。特に2階から屋根の部分は凄すぎです。(うまく表現できず。。)
しあわせの架け橋
平成から令和になるにあたり、話題になった道の駅があります。
地区名のへなり(平成)にちなんでつけられた道の駅「平成」。道の駅の方はへいせいと読みます。道の駅では地元特産のしいたけ料理、足湯、令和だんご、平成グッズなどを購入することができます。名物・しいたけカツ丼は絶品ですよ!
しあわせの架け橋は道の駅から歩いてすぐ、しあわせの気の森のなかにあります。池に架けられた橋の上に大きな玉のオブジェがあります。今までの感謝や今後の願いなどを念じながら、平成側から令和側へ渡ると良いとのことです。
池の向こう側には不動明王の祠もあります。
道の駅で購入できる専用の運勢占い用紙と、池に設置された販売機で購入したメダルを使って、運勢占いができます。紙を池に浮かべコインをのせ、2分以内に沈めば大吉、5分以内で中吉とのことです。
まとめ
刃物のまち、岐阜県関市をぶらりドライブ旅をお届けしました。
日本刀から始まった関鍛冶の歴史は古く、伝承館ではその歴史、製造過程、美しい銘刀の数々を見ることができます。その関市内には安全剃刀で有名なフェザーミュージアムがあり、刃物文化が現在も息づいていることを知ることができます。
関市は刃物だけでなく、最近話題のモネの池、道の駅平成や、ゆく年くる年でも登場した名刹・日龍峯寺など、見どころがたくさんあります。歴史や自然に触れ、心身ともにリフレッシュすることができます。
平成から令和へ。
年号が変わっても変わらない、刀鍛冶の伝統・技への想い、美しい自然、歴史を感じに、観光スポットをめぐってみてはいかがでしょうか。