衛生陶器メーカーとして有名なINAX(イナックス)。
現在はLIXILに統合し、衛生陶器などを扱うブランド名になっています。INAXの便器、洗面台など使ったり、見たことがあるかと思います。
INAXですが、焼き物で有名な常滑で生まれたのをご存じでしょうか?
自分はまったく知らず、常滑市にある「INAXライブミュージアム」で知りました。常滑で土管、タイルの生産からはじまり、現在では日本を代表する衛生陶器メーカーのひとつになっています。
そんなINAXのものづくりの歴史を知ることができる施設が「INAXライブミュージアム」です。広い敷地内に昔の窯、煙突、博物館、体験工房などがあり、大人から子供まで家族で楽しめる施設になっています。
今回はINAXライブミュージアムを紹介していきます。
アクセス
知多横断道路「常滑IC」から南に約3km(約7分)のところにあります。最寄駅は名鉄常滑線「常滑駅」で、歩いて約2km(約25分)です。駅から施設近くでとまるバスも利用できます。
施設情報
敷地内の広場を中心に、昔の窯、煙突の建物や展示室、博物館、体験工房、レストランなどがあります。一部の建物内の展示室は有料ですが、それ以外は無料で楽しめます。とても広く開放的でのんびり見てまわることができます。
◇施設情報
開館時間:10時~17時(最終入館 16:30)
休館日:水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
入館料:大人 700円 / 高・大学生 500円 / 小中学生 250円
※団体、JAF割引等あり
体験工房:それぞれで追加料金
電話:0569-34-8282
公式HP:INAXライブミュージアム | LIXIL文化活動 - LIVING CULTURE
◇有料場所
窯のある資料館、世界のタイル博物館
※いずれかの施設で購入。入館時にチケット確認があるので紛失に注意。
INAX(イナックス)って何?
常滑で生まれた衛生陶器などを手掛けるメーカーです。現在はLIXILに統合し、ブランドとしてINAXがあります。
常滑で1921年に創業し、土管やタイルなどを生産。日本のインフラ発展に多大な貢献をしてきたメーカーです。今では便器や洗面台など、INAXブランドとして知られています。
INAXを創業したのは伊奈さん。
名前の「ina」と未知数を表す「x」でINAXの誕生です。
なるほど!!
窯のある資料館
大正時代に創業したときの窯と煙突が保存されています。
今は使われなくなりましたが、資料館として当時の姿のまま見学することができます。
窯は煉瓦を積み重ねて作られており、内部の熱による膨張を防ぐため、鉄骨で周辺を固定しています。写真では分からないですね。。
鉄骨の一部として使わなくなった鉄道の線路も利用しています。写真の左端にその一部がちょっとだけ写っています。もっと分かりやすい写真を撮るように心がけます。。
窯内部をプロジェクションマッピングで再現
窯の中は当時の状態のまま残されています。
窯の両側で石炭を燃やし、窯の中に入れた土管などの陶磁器製品を焼き上げます。石炭と一緒に岩塩(塩)を入れ、表面にガラス状の被膜を形成させる「塩釉(えんゆう)」という技法を用いています。
その効果が窯内の壁面にも艶のある褐色として現れています。
窯の内部でどのように製品が焼き上げられていたか、迫力あるプロジェクションマッピングで紹介しています。火が窯の内部で燃え上がり、炎はその勢いのまま床に敷いたレンガの隙間から抜け、煙突から煙となって出ていきます。
迫力の焼き上げの再現映像は必見です!
・・・まるで窯の中で燃えているみたいでちょっと怖いかも・・・
トンネル窯
ビルなどで使用するタイルを大量に生産するための窯です。
台車に載せたタイルを入り口から入れて、まずは予熱(かるく温める)します。次に本格的に焼き上げて、最後は冷やしてトンネルから出てくる仕組みです。連続的にタイルを作ることができるため、大量生産に向いた窯です。
タイルの普及に貢献をしてきた窯ですが、今では大量に作る必要がなくなり、その役目を終えています。
建築陶器のはじまり館
日本の建物において鉄筋コンクリート造りが主流になってくると、ビルなどの建物を装飾する建築陶器が造られ始めました。その歴史を実際のものを見ながら知ることができます。
明治時代の赤煉瓦からタイルへ変わっていく歴史を知ることができます。
テラコッタパーク
テラコッタとは、素焼きの焼き物で、装飾を施した大型タイルや立体的な造形物を言います。日本で有名な建物で使用していたテラコッタを移築し、緑の芝生が美しい庭園内に並べられています。
複雑な模様のタイルや魔除けの鬼のようなものがあります。
長年、雨風にさらされてもその美しさが残っているのは凄いですね!でも、鬼のテラコッタは見方によっては愛嬌がありますが、やっぱり怖い、不気味です。。
世界のタイル博物館
古今東西の美しいタイルとその文化を紹介しています。
博物館に入ってすぐ、タイル張りの壁の美しさに目を奪われます。天井にもカラフルなタイルが美しく並べられ、まるで異国に来たような気分にさせてくれます。
入口の上の部分のタイル・パネルの模様の間から広場の景色を眺めることができます。幾何学的で美しい窓(パネル模様)から眺める広場と煙突、そして青空の構図~おもしろい写真が撮れて大満足です!
便器・特別展示
和便器や小便器など、模様の美しい芸術的な便器がたくさん展示されています。
普通の白い便器でなく、色のついたもの、模様が描かれたもの。機能を満たしつつ、美しい曲線を活かし、人の手で作られた造形美、そして佇まい。
この展示室だけで30分以上も楽しんでしまいました!
陶楽工房
施設内にはいくつかの体験コーナーがあり、そのひとつ、陶楽工房ではタイルの絵付け、モザイクタイルを使ったアクセサリ、小物、飾りを作ることができます。予約制のものもありますが、当日飛び込みで参加も可能なので、係員さんに聞いてこの機会に体験してみてはいかがでしょうか。
子供連れの親子が多いですが、アラフィフおじさんの自分一人でも親切に対応してくれました。ミュージアムの方々はとても親切です。ありがとうございます!
お土産屋・食事処
ミュージアムショップでは、タイル柄を活かしたアクセサリーをはじめ、常滑焼の急須や瓶など、ここでしか買えないものも多数そろえてあります。
敷地内にはイタリアン・レストランがあります。
ピッツァ、パスタランチなどを楽しむことができます。
コロナの影響で入店人数が限られ、またお昼時だったこともあり、残念ながら入店できず(待ち時間1時間以上で諦めちゃいました)。
今度来る機会があれば利用して、感想を紹介したいと思います。
まとめ
常滑から生まれたINAXライブミュージアムを紹介しました。
土管製造から始まり、日本の発展を陶器産業で支えてきたINAX。
歴史的価値のある窯、煙突、トンネル窯をはじめ、近代の建築陶器としてのタイル、テラコッタなど、日本の陶磁器産業の歩みが、この施設で見て知ることができます。
世界の装飾タイルや、もはやこれは芸術品である便器など、見どころ満載です。体験工房でのアクセサリづくりもあり、大人から子供まで楽しめる施設が、ここ「INAXライブミュージアム」です。
常滑の陶磁器文化に触れ、近代の陶磁器の歩みを知る。
日本の発展を支えた陶磁器の歴史を感じてみてはいかがでしょうか。
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