滋賀県と岐阜県の県境に日本百名山のひとつ、標高1,377mの伊吹山があります。春から秋にかけ高山植物や紅葉などが楽しめる、自然豊かな観光スポットです。
麓より有料道路「伊吹山ドライブウェイ」で9合目のスカイテラス駐車場に駐車し、山頂までは3つの登山道より登頂することができます。比較的歩きやすく、距離もコースにより500から1,500mmと気軽に山歩きを楽しむことができます。季節により高山植物の花が咲き、目でも楽しませてくれます。
今回は伊吹山の頂上を目指し、登山道から眺める景色、山頂の絶景、グルメなどを堪能したので紹介したいと思います。2日に渡り3つの登山道コースも歩いてみたので、その違いについても紹介してきます。
アクセス
伊吹山は琵琶湖の東側にあり、9合目までは有料道路「伊吹山ドライブウェイ」で行くことができます。料金は3,140円(軽・普通車)と少し高めですが、山頂までの爽快ドライブ、伊吹山から望む雲海の広がった山々、琵琶湖、遠くに若狭湾を望む絶景など、日常を忘れてリラックスできる絶景観光スポットです。
施設情報
開通期間:季節により時間が異なります。
(春季)8時~20時 / (夏季)3時~21時※
(秋季)8時~19時
※夏は期間限定でオールナイト営業あり(車中泊可)
料金:(二輪)2,200円 / (普通車)3,140円
※割引クーポンがある場合もあり(ただし要印刷)
売店・レストラン(スカイテラス伊吹山):
10時~16時(夏季など延長営業あり)
トイレ:駐車場と山頂にあり
公式HP:伊吹山ドライブウェイ
<詳細は公式HPを参照してください>
注意点:
・オールナイト営業期間を除き車中泊は禁止
・トイレに備え付けのトイレットペーパー無し
(持参するか、売店やトイレ入口に設置の自販機で購入)
登山コース
登山コースは3つあり、最短距離順に、中央登山道コース(中央コース)、西登山道コース(西コース)、東登山道コース(東コース、下り専用)になります。高山植物や絶景を楽しむ場合は、西か東のコース。すぐに山頂に向かいたいなら中央コースがベストです。
東コースは距離が一番長い1,500mで、豊かな高山植物とちょっとした登山気分を堪能するなら迷わずこのコースです。ただし足場は悪く、剥き出しの岩がゴロゴロし、ぬかるんだ滑りやすい泥道など、最低でも運動靴などの歩きやすい装備が必須です。サンダルなどは滑ってかなり危険です。
◆早く山頂に到着したい
→中央コース(約500m/約20分)
◆山々の絶景、高山植物をのんびり楽しみたい
伊吹山から琵琶湖を一望したい
→西コース(約1,000m/約40分)
◆豊かな高山植物、ちょっとした登山を楽しみたい
→東コース(約1,500m/約60分 下り専用)
それぞれのコースが山頂でつながり、1日あればすべてのコースを回りきれるボリュームです。
今回は2日間にわたり3つのコースを歩き、山頂を目指してみたので、それぞれ紹介していきたいと思います。
西コース・びわこ展望台
西コース入口は、駐車場の一番奥、スカイテラス伊吹山の近くにあります。伊吹山は松尾芭蕉ゆかりの山で、入口近くには伊吹山を詠んだ歌碑があります。
「そのままよ 月もたのまし 伊吹山」
伊吹山は月の力を借りなくても立派な山だ、という意味です。
入口近くには入山協力金の箱が置いてあり、伊吹山の草花を守るために使われています。これからもより良い伊吹山の景観が守られるよう、300円投入させていただきました。
柵の扉を開けて、いざ伊吹山の山頂を目指します。
入山すると目に飛び込んで来るのは数kmに渡って張り巡らされた柵や網などです。鹿などの野生動物の食害から高山植物を守るために設置され、今回も何度か鹿の群れと遭遇しました。貴重な草花を守る苦労が伝わってきます。
西コースは眼下に雄大な山々が広がり、景色を楽しみながらのんびり歩くのに最適なコースです。傾斜もきつくなく、剥き出しの岩のゴツゴツ道もありますが、ほとんどが砂利などの歩きやすい道になっています。
美しい高山植物の花々
山の斜面には季節により色鮮やかな高山植物の花がたくさん咲いています。
西コースに入ってすぐの所には、黄色い美しい花が咲き、観光客の目を楽しませてくれます。開花情報などは売店で入手でき、そのパンフレットによると、クサボタンかイブキフロウという花だそうです。緑の絨毯に黄色の花は映えますね!
伊吹山の頂上付近は雲に覆われることがあり、急にあたり一面が霧になることがしばしばです。雲の中を歩く、こんな非日常を味わえるのも伊吹山ならではです。
しばらく歩くと、ピンクの花が美しいシモツケソウ群落に出会えます。
びわこ展望台
のんびり美しい景色や草花を眺めて歩いていると、山頂とびわこ展望台に向かう分かれ道があります。山頂に向かう前に展望台へ行ってみます。
歩いて数分でびわこ展望台に到着です。
展望台からは麓のまちとその先に琵琶湖がかすかに見えます。少し雲がかかっていて分かりにくいですが、遠くにあるのが琵琶湖です。天気がもっと良ければはっきり見えるかと思います。
美しい景色を眺めていると、山の斜面に野生の鹿を発見!
こんなところでも力強く生きているんですね。それにしてもここから眺める景色は本当に絶景です。琵琶湖からぐるっと濃尾平野なども一望でき、遮るものがない、雲上のパノラマ風景。この景色を見るために多くの観光客が訪れるのも納得です。
いざ山頂へ!
びわこ展望台の景色を堪能し、次は目的地、山頂を目指します。
山頂までは緩やかな勾配の道が続きます。山頂にある建物が見えてきました。
のんびり歩いているとまたまたあたり一面が雲に覆われてしまいました。今日はこんな場面が多く、晴れたり、雲の中で視界の悪い霧の世界になったりと、変わりやすい山の天気を堪能できました。これも普段は経験できないので楽しかったですよ。
ちなみに雲と霧の違いって分かりますか?
調べてみたところ、見ている場所によって使い分けるようです。地面から離れた場所から見たらそれは雲、自分のまわりを覆ったらそれは霧になります。雲の中に入り辺り一面が霧・・・使い方が難しいですね。
この日はとにかく雲、霧?が凄く、十分な絶景が楽しめなかったため、翌日の朝に再度登頂しました。この日は天気に恵まれ、山頂も雲がかからず、素晴らしい伊吹山の絶景を楽しめました。
山頂
山頂は開放感のある、ひらけた草原になっています。
はじめて見たとき、まるでアニメ「千と千尋の神隠し」の最初の草原のシーンを思い出してしまいました。祠もいくつかあり、たぶんこんな感じだろうなぁっと。
日本武尊の石像
山頂には日本武尊(やまとたけるのみこと)の立派な石像があります。明治45年に設置され、大正元年に開眼供養もされているそうです。そのほかにも、弥勒菩薩像(みろくぼさつぞう)の祠もあります。
山頂展望スペース
ベンチに座ってのんびり麓のまち、琵琶湖を眺めることができます。今日は天気が良く風が穏やかだったので、あまりの気持ち良さに長居してしまいました。
山頂の気温は麓より約10℃ぐらい低く、夏でも20℃前後と涼しいため、薄着で来るとちょっと寒いかもしれません。
昨日はこんな感じで辺り一面を雲に覆われ、まったく何も見えない状態でした。しばらく待ちましたが次から次へと雲に覆われ、絶景堪能を断念。。翌日の朝は昨日の状況が嘘のような晴天に。何とか絶景が楽しめて一安心でした。
伊吹山寺覚心堂
山頂の西側に伊吹山寺覚心堂があり、気軽に参拝することができます。お堂は平成3年に完成し、伊吹山山麓にある本堂も昭和60年に再興と比較的新しいですが、その歴史の始まりは西暦600年後半とされています。平安時代には日本七高山のひとつにも数えられています。
毎年春と秋にはスカイテラス駐車場の西コース入口近くの恋慕観音像(れんぼかんのんぞう)前で護摩法要が開催されます。
山頂の休憩処
登山でお腹が空いたら、山頂のお土産屋さんで、そば、うどん、カレーなど、食事が出来るお店があります。伊吹山の麓で育った乳牛から搾った地元特産品の伊吹牛乳がおススメです。小学校の給食でも出される地元で親しまれた牛乳で、スッキリした味わいで飲みやすく、臭みもなく後味すっきりで、疲れた体には最高の牛乳です。
中央コース
山頂に最短で到着できるコースで、約500m、約20分ほどで到着します。
最短距離ということもあり勾配はきついですが、階段が続く道のため、ゆっくり登っていけばそれほど大変ではありません。絶景や高山植物を楽しむなら、西、もしくは東コースをおすすめします。
東コース
下り専用の約1,500m、約60分ほどのコースです。
道幅が狭く、岩がゴロゴロし、ぬかるんだ泥道もあるため、歩く際には十分な注意が必要です。
途中に注意看板もありますが、サンダルなどの軽装は転ぶ危険があり、やめておいた方がよいかと思います。
登山が好きで慣れている方は、このコースの方が歩き甲斐があるかと思います。景色も西コースに負けないぐらい絶景です。特にあたりが開けた場所は、青々した草や高山植物が広がり、遠くには雲海の広がった山々を心ゆくまで楽しめます。
スカイテラス伊吹山
駐車場の敷地内にはお土産、食事や軽食が楽しめるスカイテラス伊吹山があります。屋外テラスで美しい景色を見ながら食事、休憩ができます。伊吹山の名物である、伊吹そばとよもぎソフトを堪能しました。
伊吹そばを堪能!
伊吹そばは日本のそば栽培発祥の地と呼ばれています。
古くは平安から鎌倉にかけ、山岳信仰、修験の霊場として、修験者の食事としてそばの栽培がこの地で始まりました。江戸時代には彦根藩井伊家から江戸幕府への献上品とされ、伊吹そばは当時より人々に賞賛されていました。
伊吹山は涼しい気温、昼夜の寒暖差がそば栽培に適しており、広くそばが栽培され、東西の往来の人々から広まったことで、そば栽培の発祥地と呼ばれるようになったそうです。
ということでここは迷わず伊吹そばを注文!
期間限定の冷たいそば「冷やし鴨そば(税込930円)」を頼んでみました。
しっかりした歯ごたえ、つるつるっと喉ごしが良く、風味のあるそばです。汁は少し甘みのあるダシの効いた濃い味で、そばとの相性も抜群です。少し塩味の効いた鴨肉とそばを絡めて食べると、口いっぱいに鴨の旨味とそばの風味が広がります。気付いたら夢中で完食していました。うっまーい!!!
よもぎソフト
そばと同じく名物のよもぎを使ったソフトクリーム(本格よもぎソフト 税込420円)も食後のデザートで頼んでみました。
一口食べただけで、よもぎ独特の渋みが感じられ、ソフトクリームの甘さで、抹茶アイスのような風味に感じられました。渋みのおかげで甘みもほどよく抑えられ、スッキリした後味の良いソフトクリームでした。こちらも、うっまーーい!
恋人の聖地と恋慕観音像
伊吹山は恋人の聖地としても有名です。
スカイテラス伊吹山の近くの恋慕観音像(れんぼかんのんぞう)は恋人のパワースポットにもなっています。
観音様の足元にある円縁の石は、円窓の抜け方によって縁結び、またその逆の縁切りのパワーを与えてくれるとのことです。抜け方を間違わないように注意してくださいね!
絶景!スカイテラスからの夕日
夕方になるとスカイテラスから遠くの若狭湾方向に沈む夕日を拝むことができます。夜になると夜景も美しく、夕方、そして夜景をぜひ、楽しんでみてください。(スマホで夜景がうまく撮影できないため紹介できず残念…)
まとめ
伊吹山の9合目のスカイテラス駐車場から山頂を目指す3つの登山道コース、山頂からの絶景、グルメ、美しい夕日、パワースポットなど、伊吹山の魅力について紹介しました。
伊吹山は初心者でも気軽に山歩きを楽しむことができ、山頂からは琵琶湖をはじめとした絶景、豊富な高山植物、雲海に包まれた山々、時には雲に覆われるなど、自然を存分に楽しむことができます。
季節によっていろいろな表情を見せる伊吹山。
雄大な自然、息をのむ絶景が広がる伊吹山に訪れてみてはいかがでしょうか。