平安時代 空海によって開創された、現在の和歌山県北部の山々に囲まれた一帯を高野山と呼び、仏教の聖地のひとつとして数えられています。悟りの修行を目的に真言密教の根本道場として創設された「段上伽藍」、高野山真言宗の総本山「金剛峯寺」、大師信仰の聖地「弘法大師御廟」までの「奥之院」があります。
高野山の多くの寺院や参道など、「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界遺産に登録されています。パワースポットとして観光客に人気があり、最近はお寺に泊まれる「宿坊」が密かなブームになっています。外国からも多くの観光客が訪れています。
近年人気を増している高野山に初めて訪れ、観光パンフレットを片手にぶらり散策してみたので紹介したいと思います。「まだ行ったことがないけど、行ってみたい」という方に、少しでも参考になればうれしいです。
アクセス方法
高野山へは大阪から約2時間30分、名古屋から約5時間と、そこそこの移動時間になります。今回は南紀方面から山道(168号線)を通って向かいましたが、約4時間ほどの道のりとなりました。朝早めに出発し、現地に午前中には着きたいところです。
駐車場は高野山エリアすべてで713台分のスペースがあります。大人気の季節・時期を外せば、まず駐車場で困ることはないかと思います。混雑時は臨時駐車場も開放されます。
今回は端から端まで歩く覚悟を決めていたため、比較的端にある「愛宕前駐車場」に駐車しました。壇上伽藍エリアが近く、「大門」も歩いてちょっとの距離です。大門から端の奥之院の一の橋まで片道約2.2km程度ありますが、途中のお寺さんやお土産屋さん、食事処をぶらりのんびり巡って歩いたため、それほど苦ではありませんでした。
「奥之院まで歩くのが大変!」という方は、奥之院のほぼ中央の「中の橋」近くに駐車場が186台ありますので、車で移動してもよいかと思います。
散策ルート
今回の散策ルートです。
愛宕前駐車場 → 大門 → 中門(壇上伽藍) → 根本大塔(壇上伽藍) → 金剛峯寺 → 食事処「丸万」 → 御菓子司「かさ國本舗」 → 摩尼宝塔 → 弘法大師御廟(奥之院) → 愛宕前駐車場
<総歩行距離:8.2km/1時間44分 ※参考(移動時間のみ)>
大門
高野山の総門である「大門(だいもん)」は高さが約25mもあり、朱色が周りの緑や青空に映え、圧倒的なスケール感があります。両側には金剛力士が安置されており、鋭い眼光に睨まれると門を通る際に背筋がピンと伸びたような、シャキッ!とした気持ちになります。
それにしても朱色の柱が緑の木々や青い空に映えて、本当に美しいです。
壇上伽藍
大門から700mほど歩くと、壇上伽藍(だんじょうがらん)エリアには多くの建物があります。弘法大師空海がこの地に訪れた際に、修行により悟りを開くための道場として、伽藍を開創したとのことです。
中門
壇上伽藍の中央に「中門」があり、ここを通ると壇上伽藍の境内に入ることができます。大門ほど大きくはありませんが、朱色の柱でできた立派な門です。門の両側、その表裏に4体の像が設置されています。
金堂
「金堂(こんどう)」は高野山全体の総本堂で、主な行事はここで執り行われています。金堂の中に入るのは有料で、今回は入りませんでした。入っておけば良かったかなぁ?
根本大塔
壇上伽藍エリアでひときわ大きく、立派な建物がこの「根本大塔(こんぽんだいとう)」です。
4方向に大きく広がる屋根、多段構造のスケールもさることながら、朱色の建物が青空のもとで鮮やかに映えており、見るものすべてを魅了してやみません。別の角度からの写真も載せておきます。いやぁ~、美しいですね!
根本大塔内には有料(200円/人)にて入場できます。入り口にお賽銭箱らしきものがあるので、お金を入れて入場です。受付の人はいないのでお金を払い忘れないように注意が必要です。
中は「撮影禁止」のため、高野町観光協会HPより写真を借用させて頂きました。中央に胎蔵界大日如来と周りに4体、6本の柱には大菩薩が描かれており、そのスケール感に圧倒されます。
何をお願いすればよいのか悩みますが、とりあえず、初めて高野山に無事に来させていただいたことへの感謝をお祈りしました。「また来られますように…。」
まだ早いですが、紅葉している木々があったので、根本大塔をバックに写真撮影しました。紅葉も根本大塔の朱色もお互い負けず劣らず美しいですね。
御影堂、西塔、大会王堂、東塔
壇上伽藍エリアにはたくさんの建物などがあり、すべて紹介しきれないため、写真のみでお届けします。
金剛峯寺
高野山真言宗の総本山である「金剛峯寺」は、高野山を代表するお寺のひとつです。拝観料500円で中に入ることもできます。拝観料がかかる施設すべてに入ることができるお得なチケットもあります。1,500円で6か所、巡ることができ、700円もお得になります。
金剛峯寺は子供の頃の教科書でしか見たことがなく、「実際の金剛峯寺をこの目で見る!」というのが今回の高野山の旅の目的でもあります。歴史を刻んできたその佇まいは、見ているだけで心が落ち着きます。
食事処「丸万」
時間がお昼を回ったということで、金剛峯寺の近くにある、食事処「丸万」さんで昼食をとることにしました。
店内はテーブル、カウンタ、座敷があり、多くのお客さんで賑わっていました。ほとんど満席状態で、人気の高さがうかがえます。
メニューが80種類と豊富で、「精進定食」をはじめ、エビフライ、ハンバーグなどの定食から、そば、うどん、丼ものがあります。カレーやお寿司など、とにかく種類が豊富で選ぶのに悩んでしまいます。
悩みに悩んだ結果、カツ丼と天丼、天かすそばを注文しました。そばの汁はあっさり、どんぶりはしっかりした味付けのつゆが、とんかつ、えびの衣とトロ玉子にしみ込んでおいしかったです。値段も観光地にも関わらずリーズナブルなのがうれしいです。
御菓子司「かさ國本舗」
散策で疲れてくると、甘いものが欲しくなります。金剛峯寺の前の通りを東に少し歩いた通り沿いに、 御菓子司「かさ國本舗」さんがあります。ガラス越しに「焼きもち」を焼いており、おいしそうな見た目と香りで、完全ノックアウト。「焼きもち」と「六方焼」を買って、店内でおやつタイムを楽しみました。
焼きもちは、粒あんを餅で包み、表面を焼いた餅菓子です。表面は少しカリッと香ばしく、中はやわらか餅とたっぷりの粒あんのほどよい甘さが、後引くおいしさです。
六方焼は、ぎっしりのこしあんを皮で包み、表面にゴマをまぶした和菓子です。こしあんのしっとりした甘みと、ゴマの香りが口いっぱいに広がり、こちらもおすすめのお菓子です。
いずれも1個110円で、近くを通ったら迷わず味わうことをお勧めします。店内で休憩所があり、お茶を飲みながら、おいしい和菓子を頂くと、散策の疲れが飛んでいくようです。
摩尼宝塔
奥之院に向かう途中に、朱色のひときわ目立つ塔が建っており、気になったので入ってみることにしました。ここは第2次世界大戦でのビルマ戦死者の供養塔になります。中には当時の現地の様子などの写真や装備品の展示などがあり、また、どことなくビルマ(現ミャンマー)の異国情緒な雰囲気が漂っています。
中に入ってすぐのところに、天井からぶら下がる大きな数珠があります。3回引っ張って掴んだ数珠に書かれた模様が今日の運勢とのことです。
入り口の反対側には地下につながる階段があります。中は暗くなっており、手摺を持って暗闇の中を進んでいきます。暗闇の中にぼんやりと光る仏画があり、目が慣れると見えてきますので、臆することなく入ってみることをお勧めします。
弘法大師御廟(奥之院)
奥之院エリアには約2kmの参道の周りに多くのお墓が建てられています。歴史に名を馳せた武将、大名などの墓碑があり、豊臣秀吉などの墓碑もあります。樹齢数百年を越える杉の木は天高く伸び、その中を参道を歩いて奥まで行くと、弘法大師御廟(こうぼうたいしごびょう)があります。
弘法大師御廟付近や寺内は写真撮影禁止のため、写真で紹介できないのが残念ですが、御廟近くの燈籠堂の燈籠の数には驚きました。どれだけあるんだろうと思うぐらいの数の燈籠が天井にぶら下がり、ひとつひとつの灯りが堂内を照らし、神聖な雰囲気が漂っていました。
まとめ
仏教の聖地「高野山」にはじめて訪れ、檀上伽藍での根本大塔、金剛峯寺、弘法大師御廟(奥之院)を散策で巡ってみました。
全国にある弘法大師信仰の中心地であり、また教科書などでしか見たことがなかった仏閣をみることができ、とてもワクワクする一日を過ごすことができました。
高野山のエリアには宿坊が多くあり、利用客の方も多くみられました。次回は宿坊に泊まってみたいと思います。日が暮れてからの高野山の散策も幻想的で楽しそうです。
はじめての「高野山」~仏教の聖地をぶらり散策の旅、、最後までご覧いただきありがとうございました。